保証制度の期間が過ぎてしまいましたが、わが家の浄化槽は大丈夫でしょうか
一般的に、浄化槽も何年も過ぎれば、経年劣化による自然故障が発生することがありますが、保証期間が過ぎている場合であっても、有償による修理は可能です。
そのような場合には、設置されている浄化槽の製造メーカーの営業所、販売・施行会社などに相談してください。
家族のみんなが知っておくべきことは何ですか
小型合併処理浄化槽は、し尿だけでなく台所や風呂、洗濯などの生活雑排水もいっしょに処理する浄化槽です。それだけにさまざまな性質の汚水を処理する能力が要求されます。
こうした状況を浄化槽を使用する家族のみんなが理解し、浄化槽が機能を十分に発揮できるように協力することが大切です。
- 登録を受けた保守点検業者と保守点検契約を、許可を受けた清掃業者と清掃契約をそれぞれ結んでください。
また、指定検査機関に検査を依頼してください。 - 暮らしの中で、ちょっとした心づかいをしてください。
たとえば、台所で・・・
- 使った油は、流しなどに流さず、ゴミと一緒に出す
- なべや皿のひどい汚れは紙でふいてから洗う
- 三角コーナーには細かいネットをかぶせる
たとえば、洗濯で・・・
- 洗剤はかならず適量をはかって使う
- 漂白剤は適量を使う
たとえば、トイレで・・・
- 紙おむつ、衛生用品、たばこの吸殻を流さない
- トイレットペーパーを使う
- 塩酸等の薬品を使わない(普通のトイレ洗剤はOK)
その他、浄化槽の特徴を理解して・・・
- 殺虫剤は使わない
- ブロワの電源を絶対に切らない
- 一度に大量の水を流さない
- 大量のペットの糞尿を流さない
風呂場の改造で浴槽を大きくしましたが、合併処理浄化槽への影響が心配です
一般的に、小型合併処理浄化槽であっても、風呂場の改造で浴槽を大きくした程度の水量の増加には対処できるよう設計されています。
しかし、同時に全自動洗濯機の排水を流すような場合には、時間をずらすなどの配慮をしてください。
また、排水口に取り付けるだけで、流量を調整する器具もありますので利用してみてください。
物置のスペースがないので困っていますが、合併処理浄化槽の上を一部利用できませんか
合併処理浄化槽のマンホールやブロワの上には、物置などを置かないで下さい。
特に日頃から点検や清掃作業に支障がないように十分注意してください。
浄化槽からの臭いがひどいのですが
悪臭の原因で考えられるのは
- ブロワーの異状による浄化槽の機能低下
- 浄化槽の清掃不足
- 排気設備の不良
- マンホール蓋の密閉が不十分
などがあります。
専門知識がなければ対処できないものもありますので、委託している保守点検業者に連絡して、適正な措置をとるようにしてください。
浄化槽からの音が気になりますが
浄化槽からの「音」や「振動」について、原因を特定するのは、かなり難しいことです。
過去にあった例では、
- ブロワが原因(家屋の土台などと接触している、「音」が聞こえる部屋と接近しすぎている、等)
- 浄化槽本体が原因
などがありました。
いずれの場合も、早めに浄化槽保守点検業者あるいは施工業者に連絡して、適正な措置をとるようにしてください。
2週間ほど海外旅行をしますが、浄化槽の電源はどうすればいいのでしょうか
浄化槽の電源は絶対に切らないでください。これを切ると、浄化槽内の好気性微生物に必要な空気を送る装置であるブロワがとまってしまい、微生物の働きを弱めたり死滅させたりして、合併処理浄化槽の機能を停止させることにもなります。
また、何かの理由で1年以上家を留守にするような場合には、電源を切り、清掃をしてから水を張っておくようにします。この場合は、浄化槽保守点検業者及び浄化槽清掃業者に相談してください。
使い古しの食用油の始末は、油処理剤を使えば、流しに流せるのでしょうか
廃油に混ぜて、液体のまま流しに流す方式の油処理剤は、合併処理浄化槽の中でふたたび油と水に分離します。
このため、結果として大量の油を流し込んだのと同じことになり、油が浄化槽内のろ床やパイプ類に付着して目詰まりをおこすなど機能低下の原因になりますので、その使用は避けてください。
家庭からの廃油処分は、牛乳パックの中に、古新聞等に侵み込ませて入れ、可燃ごみとして出すか、油を固めるタイプの凝固剤で固化させてから、可燃ごみとして出してください。
また、皿や鍋、フライパン等についた油も、洗う前にキッチンペーパーや新聞紙などで拭きとるようにしましょう。
台所からの野菜くず等が流れ込まないように、排水口にネットをかぶせていますが
家庭用の合併処理浄化槽は、台所から出るごみをすべて処理するようにはできていません。
そのため、市販の流し用のネットや使い古しのストッキングなどを再利用して排水口に被せると、小さな野菜くずまで回収できて効果的です。
洗濯には粉石鹸や無リン洗剤がいいと聞きますが、どれを使えば良いのですか
環境にやさしいから粉石鹸を使うという人もいれば、無リン洗剤の方が優れているから使うという人もいます。
浄化槽の立場から考えれば、できるだけ中性のものを、洗剤メーカーが指示する適量を必ず守って、使ってもらいたいと思います。
洗剤は、大量に入れても汚れ落ちとは無関係ですし、逆に水を汚す原因となるだけです。
なお、家庭でシーツやシャツなどに使う漂白剤は、適量を使用するかぎり大丈夫ですが、塩素系の漂白剤は避けた方がいいでしょう。
風呂場のタイルに使うカビ取り剤を流しても大丈夫ですか
市販のカビ取り剤のほとんどが、次亜鉛素酸ナトリウムを主成分にしていますので、大量に使えば浄化槽内で働く微生物を殺してしまいます。
ですから、カビ取り剤は適正量を使用し、その後は、多めの水で洗い流してください。
また、その後は、1ヵ月に一度、薬用アルコールを霧吹きでタイル面に吹き付ければ、消毒とカビの発生を防ぐことができます。
なお、薬用アルコールは薬局で売っています。
トイレの掃除に洗浄剤を使いたいのですが
トイレの洗剤として市販されているものにはおおよそ塩素系、酸性、中性の3つのタイプがあり、浄化槽向きであるものは、そのことを表示しています。
しかし、洗浄剤は、使用する量によって、浄化槽内の微生物の働きを弱め、引いては浄化槽機能の著しい低下を引き起こすことがあります。
できれば、トイレの清掃は水やぬるま湯を使い、便器の黄ばみ等を取るには、消毒用アルコールをトイレットペーパーに浸み込ませて拭き取るようにしましょう。
なお、洗浄剤を使用する場合は、浄化槽に対応しているタイプのものを選び、必ず適量の使用を守ってください。
お風呂に入浴剤を使ってもいいですか?
市販の入浴剤を適量を守って使用している限りは、心配することはありません。
ただし、多量に入れると浄化槽内の水に色が付き、水質検査のときなどに確認しにくくなりますので、注意してください。
なお、硫黄化合物の含まれている入浴剤の使用は避けてください。
トイレの芳香剤は、問題ないですか?
入浴剤と同様に、適量を守って使用している限りは、浄化槽の機能に影響を及ぼすことはありませんが、芳香剤に含まれる色素によって着色され、水質検査のときなどに水質悪化と間違えられたり、香料と槽内の臭気が混じって臭気の問題を起こすこともありますので注意してください。
糖尿病の薬を常用していると、浄化槽に良くないと聞きましたが
特に単独処理場化槽では、糖尿病、高血圧等の薬の常用が浄化槽の機能低下に関係するといわれていますが、小型合併処理浄化槽の場合、流入水量が多いので薄められてほとんど影響はないと思われます。
衛生害虫が気になりますが
浄化槽内では、チョウバエ・アカイエカ・ユスリカ等の害虫が見られることがあります。マンホールがきちんと閉まっている場合は、浄化槽の近くで見ることが少ないと思います。特に害虫が気になる時は、マンホールの密閉性を確認し、樹脂蒸散剤(殺虫プレート)等の薬品で駆除してください。