健全な水循環(水量)水量の維持への貢献

生活排水は、川や湖沼、海などの大きな汚染源になっています。
例えば、使用済みの食用油 200ミリリットルを流すと、魚が棲むことができる水質を取り戻すために、風呂おけ 200 杯の水( 60 トン)が必要です。汚れの程度が高ければ高いほど、その汚れを希釈するためにたくさんの水が必要になります。

下水道のような集合処理施設では、汚水を管路で終末処理場まで運び、処理して放流します。終末処理場は河川の下流域に建設されることが多く、そこで放流されるために、その上流の河川では水量が少なくなります。
その上、上流で生活用水を取水するので、上流の河川の水量はさらに少なくなります。

一方、浄化槽は家庭で生活排水をきれいな水に処理して、身近な河川に戻すことができるため、河川の水量維持に役立ちます。水量が確保されれば、河川の自浄作用により水質浄化が促され、地域の水環境を守ることができるようになります。

水量の維持への貢献

河川の自浄作用と生物との関係

川には水をキレイにする力があります。これを川の自浄作用(自然浄化作用)といいます。
汚れた水が川に流入すると、大量の川の水によって希釈・拡散され、見かけ上キレイな水に戻ります。しかし、これらの作用では汚れそのものは消滅しないので、本質的に浄化されたことにはなりません。

真の自浄作用とは、川に生息する生物(好気性微生物)が酸素を使いながら汚れ(有機物)を食べ、炭酸ガスなどの無害なものに変える現象をいいます。
川に生物が食べきれないほどの大量の汚れが流入すると、水中に酸素があるかぎり好気性微生物によって浄化されますが、次第に無酸素状態になり、有機物をメタンガスや硫化水素など悪臭のする物質に変える嫌気性微生物が活発に働き出します。川は汚れ、好気性微生物は生息できなくなります。

川の自浄作用には生物たちの並々ならぬ努力があることをよく理解して、キレイな水を川に放流するように心がけましょう。

河川の自浄作用と生物との関係